わがアナーキズムの偉大なる先達、安部公房に捧げる
消費税と国民福祉に対する政府の認識
参議院の質問主意書には興味い質問が提出されることもある。今回は民主党議員の水戸将史の質問をみてみることにする。なお、読み易いように答弁書と一問一答に並べ替えた。

質問書
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/168/syuh/s168089.htm

答弁書
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/168/touh/t168089.htm


(質問書前文)
 現在、我が国の財政収支は危機的な状況にある。その中で、財政再建を始め社会保障財源として消費税の引上げ論議が起きている。しかし、安易な消費税の引上げは個人消費を引き下げ景気にマイナスの影響をもたらすことも大きく懸念されている。
 こうした事実を踏まえ、以下質問する。

(問い)
一 平成元年に消費税が導入されたときの理念、目的は何か明らかにされたい。

(答え)
一について
 消費税の導入は、当時の個別間接税制度が直面していた諸問題を根本的に解決し、税体系全体を通ずる税負担の公平を図るとともに、国民福祉の充実等に必要な歳入構造の安定化に資するため行われたものである。

(問い)
二 消費税導入前と後で個人消費、企業の設備投資、総需要はどのように変化したか、明らかにされたい。

(答え)
二について
 御指摘の消費税導入前と後の個人消費、企業の設備投資及び総需要の変化を、昭和六十三年度と平成元年度における国民経済計算(平成七暦年基準、固定基準年方式)の家計最終消費支出、民間企業設備及び国内需要の名目値及び対前年度実質変化率でみると、昭和六十三年度は、家計最終消費支出につき二百三兆八千九百二十一億円及び五・一パーセント増、民間企業設備につき七十一兆五千八百二十八億円及び十九・五パーセント増、国内需要につき三百七十八兆六千三百二十五億円及び七・三パーセント増であり、平成元年度については、家計最終消費支出につき二百十七兆八千四百四十三億円及び四・○パーセント増、民間企業設備につき八十兆五千三百七十五億円及び一〇・七パーセント増、国内需要につき四百九兆百十四億円及び四・六パーセント増であった。

*キンシャチ注:数字が分かりにくいので、読みやすいようにまとめてみた。
昭和六十三年度
家計最終消費支出につき203兆8921億円及び5.1パーセント増
民間企業設備につき71兆5828億円及び19.5パーセント増
国内需要につき378兆6325億円及び7.3パーセント増

平成元年度
家計最終消費支出につき217兆8443億円及び4.0パーセント増
民間企業設備につき80兆5375億円及び10.7パーセント増
国内需要につき409兆114億円及び4.6パーセント増


(問い)
三 平成九年に消費税が三パーセントから五パーセントに引き上げられた。その理由、目的は何か明らかにされたい。

(答え)
三について
 消費税と地方消費税とを合わせた税率五パーセントへの引上げを含む税制改革は、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ち、社会の構成員が広く負担を分かち合い、かつ、歳出面の諸措置の安定的な維持に資するような所得、消費、資産等の間における均衡がとれた税体系を構築する観点から、個人所得課税の累進緩和等を通ずる負担の軽減並びに消費税の中小事業者に対する特例措置等の改革及び税率の引上げによる消費課税の充実を図るほか、地方消費税を創設することにより地方税源の充実を図るため、行われたものである。

(問い)
四 消費税引上げの前と後で個人消費、企業の設備投資、総需要がどのように変化したか明らかにされたい。

(答え)
四について
 御指摘の消費税引上げの前と後の個人消費、企業の設備投資及び総需要の変化を、平成八年度と平成九年度における国民経済計算(平成十二暦年基準、連鎖方式)の家計最終消費支出、民間企業設備及び国内需要の名目値及び対前年度実質変化率でみると、平成八年度は、家計最終消費支出につき二百七十六兆五千九百三十一億円及び二・七パーセント増、民間企業設備につき七十六兆二千七十一億円及び五・七パーセント増、国内需要につき五百六兆二千九百六十二億円及び三・一パーセント増であり、平成九年度については、家計最終消費支出につき二百七十七兆八千九百五十四億円及び一・一パーセント減、民間企業設備につき七十八兆七千六百八十一億円及び四・〇パーセント増、国内需要につき五百六兆千三百五十七億円及び一・一パーセント減であった。

*キンシャチ注:
平成八年度
家計最終消費支出につき276兆5931億円及び2.7パーセント増
民間企業設備につき76兆2071億円及び5.7パーセント増
国内需要につき506兆2962億円及び3.1パーセント増

平成九年度
家計最終消費支出につき277兆8954億円及び1.1パーセント減
民間企業設備につき78兆7681億円及び4.0パーセント増
国内需要につき506兆1357億円及び1.1パーセント減


(問い)
五 個人消費に課税する消費税は総需要抑制効果を生じさせ、経済成長を低下させる要因となるのではないかという指摘があるが、政府の認識を示されたい。

(答え)
五について
 消費税については、その簡素な仕組みともあいまって貯蓄や投資を含む経済活動に与えるゆがみが小さいほか、国境調整を通じて税率の変更が国際競争力に与える影響を遮断できるという面があると考えており、他の税と比較して経済成長を低下させるものとは考えていない。

(問い)
六 消費税が導入されて十九年近く経つが、導入当初の目的はどの程度達せられたと考えるか、政府の認識を示されたい。

(答え)
六について
 消費税の導入により、物品税等が廃止され当時の個別間接税制度が直面していた諸問題が根本的に解決されたとともに、税負担の公平及び国民福祉の充実等に必要な歳入構造の安定化に資したものと認識している。

(問い)
七 個人消費を増大させ、経済成長を促して財政再建を達成するためには消費税の増税よりは、むしろ消費税減税と所得税増税をセットで行い所得の再分配機能を高めるべきだとの議論があるが、政府の認識を示されたい。

(答え)
七について
 政府としては、現在の極めて厳しい財政状況等を踏まえれば、経済成長を維持しながら、歳出・歳入一体改革に正面から取り組むことが必要であると考えており、歳出改革・行政改革を実施した上で、それでも対応しきれない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにするため、国民的な合意を目指して、本格的な議論を進め、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく、取り組むこととしている。
 なお、「消費税減税と所得税増税をセットで行い所得の再分配機能を高める」ことにより経済成長を促して財政再建を達成できるか否かについては、御指摘の消費税減税や所得税増税の具体的な内容や、個人の勤労意欲や消費行動等を通じた経済成長への影響が明らかでないため、一概にお答えすることは困難である。




消費税が経済的弱者を直撃する逆累進課税であることは、多くの方に指摘されている。
そして現在、低所得者が非常に多いことは、政府も認識している。

http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2006/menu/pdf/001.pdf

1年を通じて勤務した給与所得者4,485万人について、給与階級別分布をみると、300万円超400万円以下の者が 756万人(構成比16.9%)で最も多く、次いで200万円超300万円以下の者が718万人(同16.0%)となっている。


それなのに、政府は経済的弱者を苦しめる消費税をこのように肯定している。(上記質問主意書の回答より抜粋)

簡素な仕組みともあいまって貯蓄や投資を含む経済活動に与えるゆがみが小さい
国境調整を通じて税率の変更が国際競争力に与える影響を遮断できるという面がある
他の税と比較して経済成長を低下させるものとは考えていない
税負担の公平及び国民福祉の充実等に必要な歳入構造の安定化に資した



つまり政府は、弱者の苦しみには目を向けず、「国際競争力に与える影響を遮断できる」とか、「経済成長」とかの方が大事だと言っているのである。だいたい、消費税を導入して国民福祉は充実しただろうか?

現在、医療も年金も崩壊した。
ワーキンプアが増加する。
低所得世帯の消費支出に比べ、生活保護世帯が受け取っている食費や光熱水費などの生活費(生活扶助)の額の方が高くなっていると云う理由で、生活保護の支給額をカットしようとする。

僕には、国民福祉の一片も見いだすことは出来ない。
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